英文テクニカルライティングの紹介

テクニカルライティングとは複雑な内容を簡潔に、分かり易く、正確に書く技術のことです。

第二次世界大戦後に米国の国防総省が中心になって研究し、その後米国の国家規格であるANSIに取り入れられ、続いて企業・大学などで研究が続けられています。

日本には1980年代にMIL規格(米国の軍の規格)の一部分として紹介され、以来日本における技術英文の作成における事実上の基準になっています。

その後、日本でも日本語テクニカルライティングの研究がすすめられ、一部の企業・団体で実際の日本語技術文書の書き方の基本テクニックとして活用されています。

テクニカルライティングの世界ではやさしい用語・文体・文章ロジックを使用し、ノンネイティブの英語使用者にも内容がスムーズに正確に伝わることを最大の目的にしています。

このため裏返していえばテクニカルライティングの考えに沿ったライティングのトレーニングを積めば容易に短期間に実務で役立つ、コミュニケーション手段としての英文ライティング力を身につけることができます。

トランスワードでは日本語から英語への技術翻訳を多くこなしていますが、社員は入社前または入社後にこの英文テクニカルライティングを徹底的に勉強します。このライティング技術をマスターした上で実際の翻訳作業を行い、更なる翻訳テクニックの向上を目指します。

トランスワードでは創業の1997年の翌年、1998年から将来の技術翻訳者を育てるための社外向け翻訳講座を行ってきました。この当時講座内で勉強した内容は書籍にまとめられ、「テクニカルライティングと技術翻訳の秘訣」という翻訳参考書になり、今でも当社HPで販売されています。


この「テクニカルライティングと技術翻訳の秘訣」の内容の一部を以下に紹介します。


1. 明解な用語と表現で正確な文章を作る。

曖昧な表現、誤解を招く表現を避ける。

このためにはまず、英文中の以下の要素に注目する必要があります。

冠詞:冠詞は名詞の属性や性質を示す大切な要素です。適切な冠詞が使えるようになれば英文のコミュニケーション力が格段にあがります。

前置詞:前置詞は物体や概念の位置・状態を表します。適切な前置詞が使えれば表現しようとする物体や概念の状態や動きが正確に伝わります。

単数と複数:英語は日本語より論理的な言語です。そのひとつの要素が単数と複数の表現です。正確な文章を作るためには常に意識しなくてはなりません。


2. 読む人に負担をかけない、読みやすい文書を作る。

文章およびパラグラフの長さは適切に短くする。

カンマ、ピリオド、ハイフン、スペースなどを効果的に使用する。

大文字・小文字の使い分けを明確にし、一貫性を保つ。

正確・正式な数値と記号・単位の表記を使う。


3. 理解しやすい文章にするため、人間の考えるレベル、速さ、順番に沿った文章を作る。

使用する用語と文体を適切に決め、一貫性を保つ。

大切な条件となる内容は文章の先頭に書く。

伝えるべき内容と量を整理し、読みやすく理解しやすい文章構成にする。

時系列的な内容は時系列どおりに書く。

などです。


地球上のほとんどの人にとって言語は研究の対象ではなく、コミュニケーションの手段です。学校英語から開放され、真に役立つツールとしての英文作成力をつけましょう。

翻訳会社トランスワード 社長のブログ

当社は広島を拠点にする、自動車を含む工業技術分野を得意にする翻訳会社です。 このブログでは1997年の創業から現在に至るまで、翻訳会社として良いサービス提供のために考えてきたこと、実行してきたことをまとめます。 また、海外出張などで経験し、興味深いと感じたことなどを随時お届けします。 株式会社トランスワード:https://www.transwd.com/

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