韓国経済は日本以上に輸出に依存しているので、工業技術製品に関する翻訳需要は高いです。
サムスン電子をはじめとする大企業や公共機関からの翻訳発注量が多いため翻訳を生業にする人や会社が多数存在します。
韓国の複数の翻訳者ならびに翻訳会社と接触するうち、翻訳業界の人の日本とは異なる特色に気が付きます。
日本のマスコミでも時々取り上げられますが、韓国は日本以上に学歴社会で、多くの若者は一流の大学を目指して頑張ります。大学卒業後は有名な大企業に入社または公務員になるため、学生時代にしっかりと勉強します。就職のための予備校も多数あります。
一流の大学の多くの学生が大企業や公務員を目指すため、競争がし烈です。聞いた話では韓国で一番の難関といわれるソウル大学の卒業生でも、自分の意に沿う就職ができるのは全体の半分程度だそうです。その他の人は中小企業、自営業、または就職浪人をしながらステップアップを目指します。
韓国の場合、財閥系の大企業と一般の中小企業の待遇差は日本の場合よりはるかに大きいのでこの傾向が強くなります。
韓国の翻訳会社の給与面および社会的位置付けは大企業と中小企業のちょうど中間くらいになります。よって一流大学の卒業生のうち第一希望の就職に失敗した人たちの第二の就職先の候補になります。
私と交流のある韓国ソウルの翻訳会社にはソウル大学の新卒を採用しているところもあります。
また、上手く大企業に入れたとしても企業内の競争が激しく、40歳を超え、出世競争に敗れた人たちはリストラされるか、または自ら退職せざるを得ない状況に追い込まれるケースが多いそうです。このような退職組の人のうち技術系の経験があり、なおかつ外国語に堪能な人の一部が翻訳業界に入ってきます。
このような状況なので新しく翻訳業界に入ってくる人たちの知的レベルおよび経験は諸外国より高い傾向にあります。日本の翻訳業界で働く私たちにとっても脅威です。
ーー次回に続く
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