AI(機械)翻訳はいつ人間を超えるか Part 2

私たちが携わっている翻訳の世界では現在、深層学習を応用した種々のAI自動翻訳システムが世の中に出てきています。Google翻訳がその代表格です。
しかし現在のAI翻訳システムでも必要となる一般知識・常識が圧倒的に足りないため、出力された翻訳文の中には多くの致命的なミスが発生しています。 

外国語が全く出来ない人が外国語のサイトをGoogle翻訳で日本語に訳したら、この記事が何のことについて書いてあるかが分かる程度の役には立っています。
但し、プロの翻訳者および翻訳会社が扱っている翻訳文書には「一字一句間違いが無い完璧な仕事」が求められます。ささやかなミスでもお客様である依頼元の企業様のビジネス上の不利益につながる恐れがあるからです。

このため多くの翻訳会社は「完ぺきな翻訳」を実現するため、今でもベテラン翻訳者による手作業の翻訳を行っています。中にはAI翻訳を実行した後でプロの翻訳者によるチェック・修正(ポストエディット)を行っている会社もありますが、この場合、AI翻訳が見かけ上きれいに出来上がっているため、重要なミスを見逃す恐れが高まるので要注意です。

ではAI翻訳はいつになったら人間を完璧に超えることができるのでしょうか?

確かなことは誰にも言えませんが、一つのヒントとしてシンギュラリティ(Singularity, 技術的特異点)の概念があります。

シンギュラリティの概念はアメリカの発明家、未来学者、思想家であるレイ・カーツワイル氏が提唱しているものです。彼は1990年時点で、その後のインターネットの普及、ならびにチェスの試合でのコンピュータの勝利を少しの時間的誤差で的中させたことなどで注目を集めています。

カーツワイル氏は、シンギュラリティは2045年に起こると言っています。

「シンギュラリティが起こると、1000ドルのコンピュータは全ての人間の知能を合わせた以上に知的になる。これはローエンドのコンピュータであっても人間よりはるかに賢いことを意味する」と言っています。

もしカーツワイル氏のシンギュラリティの予想が正しければ、2045年には我々翻訳者は完璧にコンピュータに仕事を奪われることになってしまいます。またそれより10年くらい前から翻訳者の役割は徐々に小さくなることが懸念されます。

現在翻訳業に携わっている我々は今から十数年以内に、今の仕事のやり方に加えて、これまで培ってきた語学力と翻訳ノウハウを使った、何らかの新しい形態のサービスを世の中に提供し、生き残っていく必要があるでしょう。


株式会社トランスワード:https://www.transwd.com/

翻訳会社トランスワード 社長のブログ

当社は広島を拠点にする、自動車を含む工業技術分野を得意にする翻訳会社です。 このブログでは1997年の創業から現在に至るまで、翻訳会社として良いサービス提供のために考えてきたこと、実行してきたことをまとめます。 また、海外出張などで経験し、興味深いと感じたことなどを随時お届けします。 株式会社トランスワード:https://www.transwd.com/

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